初心者のための12ステップ講座:ステップ9「埋め合わせをする」

※前回のステップ8についてはこちらの記事を参照してください。

ステップ9

その人たちや他の人を傷つけない限り、機会あるたびに、その人たちに直接埋め合わせをした。

ステップ8で、今まで傷つけた人々のリストを作り、埋め合わせをする覚悟ができたなら、いよいよ実際に埋め合わせをしていくステップに移ることになる。

しかし、実際に埋め合わせをするにしても、

「ちょっとあの人のところには謝りに行くのは精神的にキツイなぁ……」
「今さら、どんな顔をして会えばいいっていうの?」

と、たじろいでしまう人も当然いると思う。
自分の過ちを認めるだけでも大変なのに、今まで傷つけた相手に償いをしていくというのは、かなりの勇気が必要とされる。

最初に言っておくが、「埋め合わせをする」といっても、別に一気にやる必要もないし、リストに書いた全ての人に「今すぐ」埋め合わせをしに行く必要もない。

そんなムチャクチャ難しいことを要求されたら、このプログラムをやり遂げられる人が圧倒的に少なくなってしまう。

また、傷つけた状況や、与えた損害なども人それぞれなのだから、タイミングを考えずに無理に埋め合わせをしようとすると、相手の方も混乱してしまうだろう。

埋め合わせで大事なポイントは、「できる相手から、確実にやっていく」というところだ。

埋め合わせをする相手を難易度別に分ける

ビッグブックでは、そのような場合の解決策も当然用意している。
前回のステップ8で作った「今まで傷つけた人」のリストを取り出し、このように分類してみて欲しい。

以下の表題をつけたリストを作ろう。

「すぐに行う」
「後で行う」
「行うかどうか分からない」
「行わない」

引用元:アルコホーリクス・アノニマス P.186

とりえあず、埋め合わせをするに際して、一番難易度が低そうな相手を「すぐに行う」グループに分類しよう。

ちょっと心の準備が必要かな?、という相手は「あとで行う」グループに分類する。

「行うかどうかわからない」グループの相手は保留ということだ。

「行わない」というグループには、相手がしたことがあまりにひどくてまだ心の整理がついてない人や、あなたの罪悪感や後悔があまりに強すぎて、今のところは埋め合わせなど考えられない、という人を仕分けていこう。

一番難易度の低い人から埋め合わせをしていく

分類が終わったら、さっそく一番目の項目に書かれた一番簡単な相手から埋め合わせをしていこう。

ここで大事なのは「とにかく埋め合わせに取りかかってみる。ステップを実践する」ということだ。

会いに行っても冷たくされたらどうしよう……。
許してくれないに決まってるわ……。

などという「先取り不安」に負けてしまって、結局何も行動しないというのが一番良くない。

12ステッププログラムは、実際に行動して、経験しなければ効果が出ないようにできているプログラムだ。
そして、真の効力を発揮させるには、ステップ12までを一通りやる必要がある。

ここで立ち止まるのは、あまりにもったいない。

だからこそ、最初の埋め合わせは最も簡単そうな埋め合わせから始めるのだ。

これは私自身の経験からも言えることだが、誠心誠意、埋め合わせをしようという気持ちがあれば、余程ひどいことをしていない限り、案外人は許してくれるものである。
そして、埋め合わせをすると、私たちの心の奥でくすぶっていた罪悪感や後悔が少しずつ消えていく。

自分の心の中でも、無意識レベルで過去に決着をつき、整理できるようになるのだ。
そうした達成感や満足感が得られたら、だんだん「他の人にも埋め合わせをしてみようかな……」という気になってくる。

あと、埋め合わせの内容については、必ずしも「謝罪する」だけとは限らない。

借金などをして傷つけた人がいるなら、借金を返すことが埋め合わせに当たる。

今まで世話を焼いてくれていた配偶者に対して「やってもらって当たり前」という自己中心的な態度で接していたのなら、感謝と配慮の気持ちを持って接してみる。

ただ言葉だけで「ごめんなさい」と言うより、そういった具体的な行動によって示せば、相手にもより誠意が伝わるというものだ。

難易度が高い相手は、埋め合わせができるチャンスがくるまで保留しておく

とはいえ、埋め合わせのリストの中には「行うかどうかわからない」「行わない」というグループに分類した相手もいる。

その中にはひどく傷つけてしまったか、取り返しがつかないほどの損害を与えてしまった人も居るかもしれない。

そういう人たちに関しては、とりあえずそのままにしておいていい。

ジョー・マキューの「回復のステップ」にはこう書かれている。

埋め合わせのタイミングをどう計るかについては、神におまかせすればいい。

いますぐ全部済ませてしまおうと限界まで頑張ってしまうような勘違いをする人もいれば、逆にまったく何もしない人もいる。

私は、いますぐできる埋め合わせも多少はあると思っているが、いずれにせよ、そのあたりをよく見分けて取りかかることが大切である

引用元:回復のステップ P.118

埋め合わせを行う上で重要なのはタイミングだ。
確かに依存症から脱した直後は、とても顔向けできない、埋め合わせなんて絶対出来ないと思うような相手もいるだろう。

しかし、回復の期間が何年も続くと、ひょっこり埋め合わせをするチャンスが巡ってきて、そのまま関係を修繕できたというケースがたくさんある。

ステップを実践し、ミーティングに出続けていれば、しかるべき時に、しかるべきタイミングでチャンスが巡ってくる事が必ずある。

自分自身や、状況の準備が整うのを待つのだ。

焦る必要はない。

このステップで何より重要なのは、私たち自身が「埋め合わせをしようという気持ちになっていること」と「実際にそれを実行している」という事実なのだ。

そういった心構えを持っているだけでも、今までただ恨みや恐れの虜となっていた状態よりは遙かにマシであり、一歩一歩着実に回復しているということに他ならない。

自分の側だけを掃除するつもりで

埋め合わせを続けていると、もちろん許してくれる人もいるが、許してくれない人もいる。

そういう時に憶えておいて欲しいのは、相手が許してくれないからといって埋め合わせが「失敗した」ということにはならない、という事だ。

ここでは、次のことを確認し、はっきりさせておかなければならない。

相手に許して貰える、許して貰えない、というのは私たちにはコントロールできない。

私たちは、罪悪感や後悔といった残骸を整理するために「自分の側」の掃除をするために埋め合わせをする。しかし、相手の側まで掃除する必要はない。

もちろん、ステップ9の原文に「その人たちや他の人を傷つけない限り」とあるように、埋め合わせをする前に、実行することで相手を傷つけはしないか?、タイミング的に適切か?、自分のエゴを押しつけてはいないか?、という検討はスポンサーと共にするべきである。


そのような検討をした上で誠意を込めて埋め合わせをしたなら、あとは相手の問題なのだ。

これらのステップを行うのは、自分自身の回復のためのである。ステップが他人にとってどんな役に立つのかということまでは考えなくていい。私たちの目的はそこにはないからだ。

埋め合わせがしんどかったらスポンサーに付いてきて貰おう

ステップの8,9は慎重に行う必要がある。かなりデリケートな対人関係を扱うからだ。

だから、できればスポンサーと一緒に相談しながら進めていった方がいい。
自分一人で判断して突っ走るより、第三者の意見があった方がより客観的で適切な判断ができる。

埋め合わせをするのが不安で仕方がない、という場合にはスポンサーに付いてきてもらってもいいだろう。

「私が間違っていました。ごめんなさい」と言えるということ

ステップ9の埋め合わせは、一回で終わるようなものもあれば、残りの人生をかけてやっていくようなものもある。

原文に「機会ある度に直接埋め合わせをした」とあるように、そうしようとする気持ちさえ持ち続けていれば、あとは神様が埋め合わせをするチャンスを運んできてくれる。

また、日常生活の中でも、ちょこちょこ「自分が間違ってたんだけど、なかなか素直に言い出せないなー」という時、埋め合わせをする習慣がついていると、以前よりスムーズに人間関係が運ぶようになる。

人間は齢をとると、どういうわけか「私が間違っていました。ごめんなさい」と素直に言える人が少なくなってくる傾向にある。

ちょっと自分の過ちを認めて謝ればすむことなのに、変に強情を張ってしまって、そこから対人トラブルに発展することもよくある。

このステップ8,9は確かに勇気の要るステップだが、やり終える頃には、自分の周りの人間関係が良い方向に変わっているに気づいて驚くはずである。

ステップ10に続きます。

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