初心者のための12ステップ講座:ステップ8「償いをする気になる」

※前回のステップ7についてはこちらの記事を参照してください。

ステップ8

「私たちが傷つけたすべての人の表を作り、その人たち全員に進んで埋め合わせをする気持ちになった」

依存症という病気は、脳が侵されるために、その人の人格が変わってしまう病気だ。

例えば、アルコール依存症を抱えている人で、普段は優しくていい人なのに、酒を飲むと別人のように自己中心的で攻撃的な性格になってしまう、というケースはよくあることである。

周りの人たちが「酒さえ飲まなければいい人なんだけど…」と漏らすこともよくある。
それほどまでに嗜癖(アディクション)は、私たちから優しさや思いやり、共感する心、誠実さなどの「人間らしさ」を奪ってしまう病気なのだ。

菊池真理子氏の「酔うと化け物になる父がつらい」というマンガは、普段は小心者で大人しいのに、酒が入ると別人のように変貌してしまう父親の恐怖を生々しく描いている。
興味のある人は読んでみるといいだろう。

依存症は「人を傷つけ、巻き込む病気」である

依存症になると、脳の機能が低下してしまう。
さらにその状態のまま何年も経つと、衝動性が高くなり、被害妄想が強くなって攻撃的になり、自己中心的な性格がそのまま定着してしまう。頑固になり、しつこさが増すのも特徴だ。

生活は荒み、家事や金銭管理などに身の回りのことができなくなる。仕事も休みがちになり、職務を果たせなくなる。

嗜癖(※アディクション)が生活の中心になってしまうため、配偶者や子供、友人といった人間関係より、依存行為を維持する事が第一の優先事項となってしまう。

※嗜癖(アディクション):わかりやすい言葉で表すと”のめりこむ””はまる”ということ。もともとは習慣的であった行動が、自分の意志でコントロールできなくなる、ブレーキが利かなくなるという状態。やめたくてもやめられない「有害な習慣」のこと。

依存症は、竜巻のように身の回りの人を巻き込んで進行していく病気といわれている。
多くの人を傷つけ、人間関係をズタズタに破壊してしまう病気なのだ。

ステップ8,9は、これら傷つけた人々に埋め合わせをしていくステップである。
私たちは、長年にわたって嗜癖(アディクション)の虜になっており、多くの人々を傷つけてきた。

薬物依存症とは何か?

2018.03.22

依存症から回復するに際して、単に嗜癖(アディクション)が止まっただけでは意味がない。

Gakki
「僕はもう依存症から回復しましたから、今までのことはチャラにしてください。今までのことは全部病気が悪かったんです。」

と言っても、周りの人たちは到底納得しないだろう。

確かにこの病気にかかった事自体は私たちに責任はない。
しかし、傷つけた人々に対して償いをし、壊れた人間関係を修復していく責任は私たち自身にあるのだ。

この病気によって、多くの人々を傷つけてきた罪悪感と後悔を清算しないことには、私たちは前に進むことができない。

また、積極的に償いをしようとすることは、自分の過ちについても許しを求めるということになる。

他人を許すとはどういうことかがわかれば、自分の方も、他人が自分に不当なことをしたときに相手を許せるようになるのだ。

ステップ8は「埋め合わせをする気になる」ための準備段階のステップ

しかし、自分の過ちを認めるだけでも大変なのに、傷つけた相手に埋め合わせをするなどと、ひるんでしまう人も多いだろう。

今さら傷つけた人に償いをして回るなんて、そんな勇気とてもないわ……

と心配になるのももっともな話だ。

大丈夫。

12ステッププログラムはそういう点でも優しく出来ていて、このステップ8では、「埋め合わせをしよう」という気持ちになるだけでいいのだ。

実際に埋め合わせをしていくのは、次のステップ9からとなる。
いうなれば、ステップ8は心の準備期間のためのステップといえばいいだろうか。

具体的に、ステップ8でやるとこは次の2つだ。

ステップ8でやること
1,自分が今までに傷つけた全ての人のリストを作る

2.リストにある人たちに進んで埋め合わせをしようとする気持ちになる

今まで傷つけた人たちのリストを作る

まず、傷つけた人を全てリストアップしよう。
既にステップ4で作った棚卸表(恨み、恐れ、性)があるはずだから、それを参考に作っていけば、さほど難しい作業ではないだろう。

棚卸表のサンプルは依存症からの回復研究会というWebサイトで手に入れることが出来る。

「恨み」の棚卸表のサンプル。
引用元:依存症からの回復研究会より

例えば、恨みのリストの1列目には、自分が相手に何かをし、それに対して相手が報復し、そのことで自分が恨みをいだいた人(あるいはしきたり、原理)がいるはずである。
私たちが埋め合わせをするべきは、その人達である。

同じように、恐れ、性の振る舞いの棚卸表も見て、自分が傷つけたと心当たりのある人をリストアップしてみよう。

無意識に傷つけたことはなかったか?悪意はないけど傷つけたことは?

いままでに傷つけた相手、といわれると、たいていは相手の気持ちを傷つけたり危害を加えるようなことを実際に行った場合を思い浮かべるものだ。
ところが、するべきことをしなかったりということも、それに劣らないぐらい相手を傷つけることもあるのだ。

例えば、他人の好意に気づかなかったり、感謝の気持ちを表さなかったりしたとか、助けることができたのに助けなかったとか、その人を弁護してあげなかったとか、そういったことが、すべきことをしなかった怠慢に数えられる。

無意識に人を傷つけることは、積極的に傷つけることに劣らないほど、相手に苦痛と打撃を与えることがあるのだ。

無意識のうちに危害を加えたことは忘れてしまいがちなので、自分がしたことと、しなかったことを書き出してみるといい。
そうすれば、知らず知らずのうちに怠っていたことが見えてくるはずだ。

どの本能が脅かされたときに人を傷つけてしまうか、自分のパターンを知る

以上の記入が終わったら、さらに三つのグループ以外でこれまでに傷つけた人々の名前を、どのような傷つけ方かは問わないですべて書き出していく。

まず名前を、次に自分がしたことを、そして自我のどの部分のせいでそれをしてしまったのかを書く。
それから、自分がした一つひとつの行動に、どのような性格上の欠点が関わっていたかをリストアップする。

これには次のような効果がある。

私たちが他人を傷つける時というのは、必ず本能のどれかが脅かされた時である。そこには自分特有のパターンがあるはずである。

「自分のどの本能が脅かされ、性格上の欠点が原因となり、他人を傷つけてしまうのか?」
ということを知ることは、とても大事なことである。

このリストを作り終える頃には、自分がどれだけ多くの人を傷つけてきたか気づき、愕然とすることだろう。

自分が被害者だと思っていたのに、じつはそのきっかけをつくっていたのは自分だった、という事も往々にしてある。

そういった「気付き」こそが重要なのだ。

そして、この段階になると、大なり小なり私たちは今まで傷つけた人に埋め合わせをする気持ちになっているはずである。

もし、そのような気持ちになれない人がいるなら、その気になるまで祈るといい。

埋め合わせのリストの作り方については、ジョー・マキュー著の「回復のステップ」に詳しく書いてあるので、参考にしてみるといいだろう。
ここで紹介した埋め合わせのリストの作り方は、この本を参考にしている。

また、元祖であるビッグブック(アルコホーリクス・アノニマス)や、「12のステップと12の伝統」にも、埋め合わせに際しての心構えや、やり方が詳しく書かれているので、より深く理解したいなら読み込んでおくといいだろう。

ステップ9に続きます。

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