初心者のための12ステップ講座:ステップ3「決心する」

※ステップ2については、前回の記事を参照してください。

初心者のための12ステップ講座:ステップ2「自分以外の力を信じる」

2018年5月12日

私たちの意志と生き方を、自分なりに理解した神の配慮に委ねる決心をした。

ステップ3

これまで私たちは、

ステップ1で自分の依存症に対して無力を認めて、

ステップ2で「自分を超えた大きな力」を信じてみる気になった。

次は「自分を超えた大きな力」に自分を委ねることを決心するステップである。

依存症者やアダルトチルドレン、共依存の人たちは、自己評価が低いゆえに、人からの評価を気にし、世間体を気にし、生きづらさを感じてきた人が多い。

自分の感情を抑えすぎると誰とも親密になれない

2016年12月21日

これまで自分の行動の規範を決めていたのは、自分のエゴや執着、世間や常識、他人の目だった。
だから、自分自身をないがしろにし、結果として他人も傷つけることになってしまった。

しかし、嗜癖(アディクション)から回復するには、自分の内なる神との対話を大事にし、神の方を向いた生き方をしていくことが大事になってくる。

嗜癖(アディクション):わかりやすい言葉で表すと”のめりこむ””はまる”ということ。もともとは習慣的であった行動が、自分の意志でコントロールできなくなる、ブレーキが利かなくなるという状態。やめたくてもやめられない「有害な習慣」のこと。

……というのがステップ3の内容なのだが、初心者の方には何を言っているのかよく分からないだろうから、順を追って説明していこうと思う。

もともと人は皆、その人なりの「良い資質」を持って生まれてきた

自分の意志で突っ走ろうとする人生は、うまくいくものではない。

そういう人生は、どんなに良いことを目指していても、まず年がら年中、人との間に、あるいは何かのことで、ごたごたが絶えない。

ほとんどの人は自分の力でなんでも進めて生きていこうとする。

だれもが、何もかも取り仕切りたがる役者のようで、照明を、踊りを、舞台装置を考え、全部の出演者を、自分のやり方で動かそうとする。

引用元:アルコホーリクス・アノニマス(87ページ)

12ステッププログラムの考え方では、人間は誰もがこの世に生まれ落ちた瞬間には、その人にしかない「良い部分」をたくさん持って生まれてくる、とされている。

それもそのはずで、赤ん坊の時から自己肯定感が低かったり、人の顔色を伺い過ぎたり、「こうあらねばならない」「こうしなければならない」といった思い込みや価値観を持っている人はいないだろう。

ありのままの自分、「その人らしさ」がもっとも強く出ているのが、赤ん坊の時なのだ。

しかし、この社会の中で成長していくにつれ、深く傷つけられたり、世の中の価値観やルールに合わせるために自分を過度に抑えつけたりしているうちに、私たちは自分が生きづらくなるような行動パターン・思考パターンを身につけるようになってしまう。

嗜癖(アディクション)という病気にかかったことで、私たちの「良い資質」はさらに台無しになり、埋もれていったのである。

本能の暴走に振り回されるとき、安らぎが失われる

私たち人間には、生まれつき「共存本能」「安全本能」「性的本能」といった基本的な本能が備わっている。
これらは、本来人間が生きていくためにはなくてはならないものだ。

例えば、
「人から認められたい」(共存本能)
「お金を稼いで安定した暮らしがしたい」(安全本能)
「可愛い彼女がほしい、格好いい彼氏が欲しい」(性的本能)
といった風に。

本能それ自体は良いものでも悪いものでもない。
問題は、それらの本能が暴走した時だ。

私たちは病気になったことで、この本能の働きがメチャメチャになっていた。

本能が暴走すると、恐れや恨み、不正直、怒りといった感情の問題に振り回されることになる。

自分を見失ってしまい、対人関係のトラブルも絶えなくなる。

これら本能の暴走や、感情の問題を野放しにしていると、神との関係も遮断されることになる。
だから、嗜癖から脱するには、自分のエゴや執着を縮小させる必要があるのだ。



引用元:ビッグブックのスポンサーシップ

12ステッププログラムは「完璧に良い人」になるためでも、「できた人」になるためのプログラムでもない。
今の「自分以外の誰か」になるためのプログラムでもない。

その人が今まで生きてきた中で身につけてしまった有害な欠点やパターンを削り出し、本来のその人自身の「良い資質」を取り戻すため、ありのままの自分自身を受け入れることを目指すプログラムなのだ。

プログラムをやる「決心」をする

しかし、「自分の執着やエゴを手放して、自分以外の大きな力に身を委ねろ」と言われても、すぐできる人がどれだけいるだろうか?
もちろん私もできなかったし、ミーティングに繋がって5年経った今でも出来ていないことが多い( ̄∇ ̄;)。

依存症者やアダルトチルドレンの問題を持っている人たちは、物事や人に対して「~ねばならない」というこだわりが強い傾向にあるし、コントロール欲求が強すぎたからこそ苦しんでいる人が多いのに、いきなり「我意を手放して委ねろ」と言われても、おいそれとできるものではない。

そんな事、依存症者でなくても、精神的に健康な人でも難しいのではないのだろうか?

しかし、ステップ3をよく読んでみると、
「私たちの意志と生き方を、自分なりに理解した神の配慮にゆだねる【決心をした】」
と書かれている。

「委ねることができるか、できないか」は問われていない。「決心したかどうか」を問われているのだ。

つまり、ステップ3は、

「とりあえず自分のやり方は脇に置いておいて、この12ステッププログラムをやってみる決心はありますか?行動する決心はつきましたか?」

と問われているだけなのだ。

ここで決心がついたら、ステップ4に進める。

ステップの1~3は情報提示のステップだったわけだが、ステップ4からは具体的な「行動」が伴うステップだ。

人生の棚卸表を書いたり、それをスポンサーに聞いて貰ったり、今まで傷つけた人に埋め合わせをしたりといった、「具体的な行動」が含まれている。

「ビッグブックのスポンサーシップ」にも書かれているように、ここで決心がついたなら、グズグズ先延ばしせずにすぐにステップ4に進んだ方がいいとされる。

けれど、実際にそれらの行動を起こすのは大変であるし、勇気もいるので、それまでの準備期間として、ステップ1~3があるのだと思ってもらったらいい。

「神に自分を委ねる」などど大仰なことが書かれているので、身構える人もいるかもしれないが、心配しなくていい。

「とりあえず、このプログラムをやってみよう」と決心がついたなら、あなたはこのステップをクリアしたことになるからだ。

ところで、自助グループにはステップ3の姿勢を象徴するような祈りがあるのだが、最後にそれを紹介して今回の締めくくりにさせていただこうと思う。

「神よ、私をあなたに捧げます。

あなたの意志のままに、私を利用してください。私が自分勝手な思いから解放されて、あなたの意志を実行できますように、どうぞ導いてください。
私の困難をどうか取り除いてください。

その結果として、私の勝利が、あなたの力、あなたの愛、あなたにもらった生き方の証となりますように。

私が手助けしたいと願う人たちにとって……。

私がいつもあなたの意志を行うことができますように!」

(アルコホーリクス・アノニマス 91ページ)

ステップ4に続く

初心者のための12ステップ講座:ステップ4「紙に書き出す」

2018年5月22日
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