「やめたくてもやめられない有害な生き癖」を手放すにはどうしたらいいのか?

ついこの間、ビッグブックの勉強会に出席してきたのだが、その内容が示唆に富んだものだったので、ここでシェアしておきたいと思い記事にする事にした。

勉強会でテーマになったのは「私たちの生きづらさの要因は『癖』にある」というものである。

世の中には色々な性格の人がいるが、私たちの性格や生き方を決定づけるものは何だろう?
様々な要素があって一概には言えないが、非常に大きな要素として「癖」が挙げられるだろう(習慣と言い換えてもいい)。

よくよく観察してみると、人の性格というのは、「癖」の集合体であることが事が分かる。特定の思考パターン、特定の行動パターン、何が好きで何が嫌いなのか、何に怒りを感じ何にワクワクするのか……。

前向きな人もいれば、後ろ向きな人もいる。涙もろい人もいれば、クールな人もいる。
では、生きづらさを常日頃から感じている人は、どのような「癖」を持っているのだろう?

1.幼少期に脳に刻み込まれた「有害な行動・思考パターン」は自分の意志でやめることが非常に困難

例えばAC(アダルトチルドレン)は、幼少期に親からの虐待や、周囲からのいじめ体験といったトラウマなどから、過度に防衛的になって人を信頼できなかったり、顔色を伺いすぎたり、完璧主義だったり、いい人・いい子を演じすぎたり、頑張りすぎたり、様々な行動・思考パターンを身につけてしまったという背景がある。

これらの特性は誰しもが多少は持っている要素ではあるが、特にACはその度が過ぎているのであり、加減というものが分からない。自分を大事にするという事がどういう感覚なのか分かっていないまま大人になってしまったので、心身を蝕むまで頑張りすぎたり、社会に適応するのを難しくする要因となってしまっている。

それらは過酷な幼少期には確かに必要なものだったのだけれども、大人になった今となっては、それらの思考・行動パターンはかえって害になってしまっているのだ。

そして、これらの癖は成人する頃にはガッチリ脳の回路に組み込まれてしまっていて、もはや「生き方」そのものになってしまっている。ここまで強固に根付いた「癖」「考え方・行動のパターン」は、もはや自分の意志の力でやめる事は非常に難しい。やめようとすればするほど、そのパターンはますます強力になっていくからだ。

自分の意志の力も及ばないほど強力で、強迫的な「癖」をやめるにはどうしたらいいのか?
その解答の一つが、AAで使われているビッグブックには記されている、12ステッププログラムである。

2.ビッグブックと12ステッププログラム

ビックブックとは、アルコホーリク(アルコール依存症者)が酒をやめて、社会に復帰するための手段(12ステッププログラム)の基本的な解説書の事であり、世界中のAA(アルコール依存症の自助グループ)で使われている。

12ステッププログラムは、そもそも「酒をやめる」という目的のために生み出されたプログラムであるが、酒や薬物といった物質依存だけでなく、ギャンブル依存や仕事依存、摂食障害、共依存などの関係障害などにも効果があり、12ステップを流用した様々な自助グループが世界中に存在している。

なぜなのか?

それは、依存症という病気の本質が「癖」と関係しているからであり、12ステッププログラムは脳の奥深くに刻み込まれた「強迫的に癖を繰り返してしまう回路」のスイッチを入れないようにするプログラムだからである。

3.「悪癖」はやめようとすればするほど悪化する

例えばアルコール依存症とは、要するに「ストレスが溜まったら酒を飲んでしまう」という「癖」が極限まで行き着いた状態だと考えてもらったらいい。

普通は、誰でもストレスが溜まってきたら「おきまりのストレス解消法」を持っていると思うし、それが機能しているから私たちは健全な生活を営めるのであるが、依存症のやっかいなところはその「ストレス解消法」が長期的に見ればあまりにも心身にとって害になる行為になってしまっている、という点である。

しかも、依存する対象というのは通常、強いドーパミン(脳内の快楽物質)を放出する特性を持っているため、何年も同じ行為を繰り返していると脳の機能自体が変化してしまって、自分の意志の力ではやめられなくなってしまうのだ。

さて、ここでアダルトチルドレンの問題に話を戻そう。

アダルトチルドレンは、大人になっても幼少期の「行動・思考パターン」をやめられない人たち、という事は既に書いた。

一見、依存症の症状と、アダルトチルドレンの生きづらさには共通点がないように思えるが、「やめたいと思っている癖を、自分の意志ではやめられない」というのがキーポイントである。

アルコール依存症の人たちは「ストレスがかかったら酒を飲んでしまうという癖」がやめられない。
アダルトチルドレンの人たちは、「極端に自分をいじめたり、承認を求めたり、完璧主義だったり、幼少期の頃に身につけた癖」がやめられない。

12ステッププログラムの基本理念(ステップ1)では、私たちはこれらの有害な癖……つまり強迫観念について「無力」であり、その事を心の底から認めた時こそ回復が始まると教えている。

「無力なんか認めたら、余計症状が悪化するじゃないか」という声が聞こえてきそうだが(実際、私も最初そう思っていた)、こと依存症や強迫観念の回復においては逆なのである。

「やめようとすればするほど悪化する」のならば、抵抗したり抑えつけたりするのは全て症状の悪化に繋がる。私たちにできるのは、「ああ、またこの癖をやってるな」と観察し、反応しない事を選択する事だけなのである。

これは、最近欧米で注目されている第三世代の認知療法ともいわれる「マインドフルネス瞑想」にも通じるものがある。

私たちは、怒りや悲しみ、不安や恐怖といった感情は、「意志の力」でコントロールできると思っているし、そう教えられてきた。だが、意外と知られていない事なのだが、感情というものは原則的に「意志の力ではコントロールできない」。人間の脳はそのように作られていないのだ。

意志の力というのは、脳の前頭葉といった部分が司っているが、この部分は疲労やストレスといった要因にたやすく屈してしまう。よしんばその場は感情を抑えつける事に成功しても、長期的に見れば非常に大きなストレスとなり、必ず精神的、肉体的に変調をきたす。

kuse01例えば対人緊張などは「緊張してはいけない」と思えば思うほど症状が悪化する

kuse02そして、緊張をコントロールできない自分を「ダメ」だと責めれば責めるほど症状は強固なものとなる。

kuse03「やめたいけどやめられない癖」=強迫観念は、自分にはそれをコントロールする力がないと認め、症状を受け入れた時から回復が始まる。
対人緊張で言えば、「人と会うと無条件に緊張してしまう自分はコントロールできないけれど、緊張してしまう自分を『ダメだ』と裁かずに受け入れることはできる」
ということである。

3.「生きるために必要だったから」悪い癖をやめることができないと知ること

私たちは、感情の問題についても、強迫観念の問題についても、「癖」の問題についても……「無力」なのである。抑えつけても、無視しても、抵抗しても、それは自分自身を欺き、自分自身と仲が悪くなっていく、という事である。短期的、表面的にはそれで済んでも、いつかは内なる自分が負荷に耐えかねて反乱を起こし、身体や精神が悲鳴をあげる時が必ず来る。

私たちにできるのは、ただ無力を認め、自分にはそういった「癖」や感情の動きがあると観察する事だけだ。

なぜ害があると分かっているのに、私たちは悪い習慣を続けてしまうのだろう?

それは、例え精神的・身体的には害になる「癖」であっても、まぎれもなく私たちはその「癖」を必要としてた時期があった、ということだ。その「癖」を使う事によって、私たちは普通なら耐えられないようなストレスや困難に対処してきたのだ。

それは法に触れるような薬物への依存だったのかもしれないし、または合法的なお酒、ギャンブル、買い物、恋愛、スマホやゲーム、といった対象物だったのかもしれない。誰かの世話や面倒をみる事に躍起になる事で自分の感情の動きを見ないようにしていたのかもしれない。

アダルトチルドレンが悩まされている完璧主義や人の顔色を見る事、人や物事の結果をコントロールしたがること、承認や愛を過剰に追い求めること……これらの「やめたくてもやめられない」行動パターンも同様である。

倫理的にどうだとか、合法だとか非合法だとか、常識とか世間体とか、そういった要素(価値判断)を一切排除して、今一度自分の「悪癖」をよく見つめてみてみると、それがあったからこそ自分は生きてこれた・やってこれた、だからこそこそやめることができないのだと必ず気づくはずである。

なぜならば、「悪癖」を否定することは、過去の自分自身をも否定する事だからだ。自分自身を否定しながら、強固に根付いた自分の思考・行動パターンはやめることはできない。

自分はどうしてもその「癖」をやってしまう。そのように物事に反応してしまう。まずはそういった自分を肯定し、受け入れてあげる。

そこから回復が始まる。

そして、それを可能にしてくれるのが12ステッププログラムなのだ。

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