行動分析学の面から「ひきこもり」を考える【なぜひきこもり続けてしまうのか?】

私は、対人恐怖症(社会不安障害)の治療において、カウンセラーさんから教えてもらった行動分析学の知識がすごく役に立ったと実感しているのですが、そのカウンセラーさんのオススメの一冊がコレ。

B・F・スキナーの「科学と人間行動」です。

B・F・スキナーは行動分析学の祖ともいわれていて、この本には行動分析の基本的考え方や、日常生活への応用の仕方などが盛り込まれています。
行動分析学を学ぶ上では基本となるような本ですね。

行動分析学とは?

人間の「性格」を形作っているもの、それらの多くは行動分析学で説明できます。

「性格」というのは、毎日の習慣の積み重ねだからです。

ある「行為」や「習慣」には、必ず行動分析学でいう「強化子」が隠れています。

強化子を説明するのに、みなさんおなじみのSNSアプリ、Twitterを例に挙げてみましょう。

私はもう何年もTwitterを続けているのですが、なぜ続けられてるのかといえば、

・「Twitterアプリを起動する」→「みんなが色んな呟きを見られる」「人とコミュニケーションがとれる」「ツイートすると反応がもらえる」

などの「好子(こうし)」がたくさんあるからです。

私にとっては、Twitterをやるとこれだけの「好子」があるので、行動が維持されているわけです。

しかし、逆にもし仮に私がTwitterをやっていて、

・「Twitterを立ち上げる」→「誰からも反応がない」「悪口を書かれる」「頻繁に炎上する」

というような事ばかりが起こったらどうなるでしょう?
たぶん私は気落ちしてTwitterをやらなくなるでしょう。

このように、行動を弱化する(減らす)「何か悪い事」を嫌子(けんし)といいます。

人が日常の中でやっている行動の中には、必ずこの好子と嫌子が隠れています。

まあ、考えてみれば当たり前のことです。
やりたいことは続けるし、やりたくないことは避けようとするのが人間ですから。

しかし、しばしばその「当たり前」のことを忘れて問題を複雑化してしまうのも人間なのです。

行動分析学によって「ひきこもり」を考える

昨今、社会問題となっているひきこもりなどは、社会生活における「嫌子」が多すぎた典型ともいえます。

学校や会社などでいじめやパワハラを受けた、人とうまく接することができない、恥をかいた、緊張する、などの多くの「嫌子」に晒され続けたからこそ、そこから撤退し繋がりを断たざるを得なかったケースが多いです。

社会からドロップアウトして家にひきこもるのも、それはそれで辛い事なのですが、少なくとも自分を傷つけてくる他人や社会からは逃れられます。

・「家にひきこもる」→「傷つけてくる他人に会わなくていい」「緊張から逃れられる」「休める」

つまり、「ひきこもる」という行動が当人にとって「好子」となっているのですね。

ここで知っておいてもらいたいのは、「安心」に紐付いた「好子」はなかなか手放しにくいという事です。

だから最近になって問題になっている「高齢ひきこもり」などの例があるように、ひきこもりが数十年に及ぶ例も珍しくありません。

しかし、彼らにとって、特別に家が居心地が良い場所だとは限りません。

家にひきこもっていても、本人はひどい焦燥感や孤立感に苛まれていることもよくあることですし、親子間で殺傷事件が起きるぐらい、ひきこもり現象は家族そのものを修羅場に追い込んでいくケースも往々にしてあります。

ですが、当人にとってみれば社会というものが、あまりにも「嫌子」しかないという思いが強すぎて、出るに出られないです。
そこまでの努力をして、社会に復帰するだけのメリット(好子)が感じられないから、アクションを起こせないのです。

だから、少しずつでもいいから外に出て「良かった」と思えるような「好子」を見つけていく必要があります。
それは他人から押し付けられるようなものではなく、自分が納得して望んだものであるべきです。

問題をやたらと複雑化しない。シンプルに考える行動分析学

ひきこもりなどの「心の問題」を考える上で思うのは、しばしば問題自体を複雑に、悪く言えば「文学的」にし過ぎてしまって、本人も治療者もどこに問題があるのか分からなくなってしまう事が多いです。

確かにひきこもりには、幼少期との親との関係や、トラウマや、これまでの生き方が影響しています。

「怠け」とか「甘え」という「意志」の問題を持ち出してしまうと、事態はより複雑になっていきます。

その点、行動分析学はすごくシンプルです。

ある行動を続けるのは「好子」があるから。
ある行動をやめてしまうのは「嫌子」があるから。

行動分析学では、「心の問題」ではなくて、あくまで「行動」に注目します。

なんでできないのか?何が邪魔しているのか?
それにはちゃんと理由があるし、それを追求し、説明できるようしたのが行動分析学だといえるでしょう。

やらなければならないけど、やりたくない。

やりたくないけど、ついついやってしまう……。

これらの背後に、必ず「好子」と「嫌子」が隠れているならば、その事を認識して日々のセルフコントロール(ダイエットや禁煙など)にも活用できます。

まあ、口で言うのは簡単でも、実践が難しいんですが、行動分析学はひきこもりや精神疾患からの回復のみならず、ライフスタイルの改善にも大いに役立つメソッドだと思います。

行動分析学を学ぶには、冒頭で紹介したスキナーの本も良いですが、初心者には杉山尚子氏の「行動分析学入門」奥田健次氏の「メリットの法則――行動分析学・実践編」なども分かりやすくてオススメです。
「好子」や「嫌子」といった強化子の話以外にも、「出現」「消失」や言語行動にも幅広く触れていて、日常生活にもすぐ応用できるものばかりです。

興味がある人は手に取ってみてはいかがでしょうか?

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