薬物依存症とは何か?

当ブログでは、様々な依存症をテーマに扱っていますが、今回は「薬物依存症」について、基本的な知識を取り上げていきたいと思います。

薬物依存症と言っても、その範囲は広く、覚醒剤、コカイン、モルヒネやヘロイン、大麻、シンナー、抗不安薬・睡眠薬(ベンゾジアゼピン)などの向精神薬、咳止め薬など市販薬も含みます。

薬物依存症とは?

よく芸能人などが覚せい剤使用の事件などで何度も捕まると、テレビのワイドショーなどでは、
「一度薬物をやった快楽を忘れられないから、何度も薬物を使ってしまう、本人の意志の弱さが問題」
「反省してないからまた使うんだ」
などという誤った報道が未だにされています。

罰をもっと与えれば、もっと反省させれば「治る」とさえ思われています。

しかし、それは事実ではありません。

薬物使用のコントロールができなくなる病気

薬物依存症とは、脳の故障にもとづく「薬物使用のコントロールができない病気」のことです。

脳のブレーキが壊れてしまい、薬物を「やめられない、とまらない」状態になっている。車に例えれば、ブレーキが壊れた状態だといえるでしょう。

最初のうちは、自分ではうまく薬物をコントロールできているつもりでも、いつの間にか薬物に振り回されるようになり、多くのトラブルに巻き込まれていきます。

そのうち自分でも「薬物をやめなければ」と思うようになるのですが、脳の快を感じる「報酬系」という部分が壊れてしまう病気のため、自力ではやめることができずにどんどん深みにはまっていきます。

ベンゾジアゼピン依存症と報酬系の機能不全について

2017年3月24日

例え薬物をやる前はしっかりした人であっても、いったん依存症になると止められなくなることが分かっています。

最終的には身も心もボロボロになり、死に至る、恐ろしい病気なのです。

どんな人でもなり得る病気

遺伝的に依存症になりやすい人はいます。
100人に同じ薬物を投与したからといって、全員が薬物依存症になるわけではありません。
生まれつき薬物に反応しやすい遺伝子を持った人は最初の一回で虜になってしまうこともあります。その一方で、使っても使わなくても平気、という人もいます。

そこに職場や家庭の環境、幼児期のトラウマ、酒へのアクセスのしやすさ、ストレス、色んな要素が加わり、薬物依存症は発症します。

「寂しい」からこそ人は依存症になる

2018年3月21日

しかし、条件さえ揃えば、基本的にどのような人でも薬物依存症になるリスクはあります。

一人きりで治すことはできない

薬物依存症は脳の病気ですので、自己流で治すことはできません。

例えば内科的な重病にかかったとして、それを自己流で治そうとはしませんよね?
ちゃんと病院に行き、医者の診察を受け、必要があれば入院するはずです。

しかし薬物依存症は、本人が誰にも相談せずに解決しようとしたり、もしくは家族内で抱え込んでなんとかしようとすることが多いですが、そのほとんどが悪化していきます。

薬物依存症から回復するには、いろいろな人や機関の助けが必要です。

NA(ナルコティクス・アノニマス)などの自助グループ

・民間の薬物リハビリ施設DARC(ダルク)

・精神科病院・クリニック

・精神保健福祉センター・保健所

・福祉事務所

否認の病気である

依存症は否認(薬物によって問題が起きている事をみないようにする考え方)がでてくる病気です。

薬物を使っていることを知られたくなくて、または薬物で問題が起きていることを知られたくなくて、自分にも周りにも嘘をつきつづけてしまうのです。

依存症者は、本当はブレーキが壊れていて何度も危ない目に遭っているのに、「大丈夫」と思い込んで突っ走っている運転手のようなものです。

ですので、なかなか自分から治療を受けようとしない傾向があります。

人格が変化していく

薬物を使い続けるうちに、怒りっぽくなったり、疑り深くなったり、しつこくなったりと、人格の変化がひどくなっていきます。

昔は優しくて温厚だった人も、一度依存症に陥ると、どんどん人格が破綻していきます。

しかし、これは病気による変化ですので、薬物をやめて1年ぐらい経つとだんだんもとどおりに戻っていきます。

価値観が薬物中心となる

薬物依存症に陥ると、健全な神経のネットワークが壊され、薬物の強い刺激のみを求めるようになります。
価値観も変わってしまい、かけがえない家族や友人、仕事、生きがい、健康などよりも薬物を選んでしまうようになります。

薬物に対する依存性がいったん脳にできあがると、二度と元に戻すことはできません。
何年、何十年やめていても、1回はじめるとまた急に強い欲求が戻ってきて、連続使用に陥る病気です。
だから、「上手に使い続ける」ということはありません。回復するには、生涯「使わないこと」を徹底するしかないのです。

ひどい苦しみを伴う離脱症状

やめようとすると、脳のホルモンのバランスが崩れるため、いろいろな苦しい症状(不眠、イライラ、鬱、吐き気など)が現れますが、これを離脱症状といいます。

離脱症状は薬物を使えば少しおさまりますが、それを繰り返していくうちにもっと強い離脱症状が出るようになります。

離脱症状の程度、症状は、薬物ごとに違いますが、耐えがたい苦痛が襲ってくるため、依存症者が薬物を使い続けている理由にもなっています。

ベンゾジアゼピン系薬物(抗不安薬・睡眠薬)の離脱症状と渇望期について

2017年3月16日

薬物依存症の正しい知識を広め、早期発見・早期治療を

薬物依存症は進行性の病気です。放っておくと、どんどん状態は悪化します。早期発見・早期治療が大切です。
薬物がやめられないのは、本人の意志の問題でも性格の問題でもありません。

日本では、メディアによって誤った情報が報道されているため、助けが必要な薬物依存症患者が治療も受けられず、自分を責め、社会から切り離されているという現状があります。
最近では、間違った薬物報道を正すために、専門家や支援者が中心になり、報道ガイドラインも作られました。

「まちがった薬物報道はもうやめて」 専門家、当事者は声をあげる

正しい知識、正しい対処法をもって、治療機関・治療機関に繋がっていくことが大切です。

また、以下のリンクは、薬物依存のこと非常に分かりやすく説明していますので、興味のある方は覗いてみてください。

「ペットボトルの水を見るだけでクスリを思い出す」 覚せい剤依存症患者の日常と治療

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